2022年度 課題設定ワークショップ:月面食料生産

2023年3月6日(更新日:4月24日)
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
宇宙探査イノベーションハブ

本イベントは終了しました。ご参加頂きました方々へはお礼申し上げます。

YouTube

動画を公開しました。

質疑回答

当日の質問に対する質疑応答を掲載致しました。

宇宙探査イノベーションハブでは、月・火星等重力天体における探査活動に向け、企業や大学等研究機関とともに技術開発を行い、成果を宇宙と地上双方で活用することを目指しています(Dual Utilization)。
本ワークショップでは「月面食料生産」の実現に向けて求める要素技術課題について紹介し、また、皆さまとの議論を通して新たな課題、アイデアを掘り起こすことを目的としています。

月面農場全体イメージ(100 人規模)
月面農場全体イメージ(月面農場ワーキンググループの検討内容を元に作成)

これまでの宇宙探査イノベーションハブでの月面農場の活動についてはこちらをご覧ください

関連リンク

開催概要


当日、配信にご参加出来ない等緊急の場合は、TansaXお問合せにご連絡ください。

詳細

  • 日時:2023年3月20日(月曜日)開催時間:15:00~17:00(終了時間は未定)
  • 開催方法:Teams Webinar(事前登録制)
  • 参加費用:無料
  • オンラインの参加用事前受付フォームはこちらです↓

オンライン参加受付フォーム

プログラム

プログラムは予告なく変更となる場合があります

時間 プログラム 発表者
宇宙探査イノベーションハブの活動紹介
15:00~ 宇宙探査イノベーションハブのご紹介 岩崎亜矢子(JAXA)
15:10~ 月面食料生産の背景、これまでの取組み等ご紹介 大熊隼人(JAXA)
15:20~ 国際宇宙探査シナリオの紹介 島田潤(JAXA)(※オンライン)
黒澤茅広(JAXA)(※オンライン)
講演
15:30~ 室内型イチゴ水耕栽培に対する取り組み 澤村聡兵(協和株式会社)(※オンライン参加)
15:40~ 閉鎖循環式陸上養殖システムにおける生サーモン「おかそだち」の養殖について 宮川千裕(株式会社FRDジャパン)(※オンライン参加)
15:50~ 植物工場から昆虫利用までサステナブルな素材活用の探索 福川真史(新菱冷熱工業株式会社)
パネルディスカッション
16:00~

モデレーター

大熊隼人(JAXA)

パネリスト

後藤英司(千葉大学)
遠藤雅人(東京海洋大学)(※オンライン参加)
坪山(笠岡)宜代(国立健康・栄養研究所)

質疑応答

  • 2023年3月20日に開催された2022年度 課題設定ワークショップ:月面食料生産での質疑内容を掲載しております。

質問内容 回答内容
1 食糧生産の目標のスライドについて地上での植物工場で、連作障害に近い現象が起きるとの話を聞いたことがあるが、対策はすでにされているのか? 地上の植物工場における課題については可能な限り宇宙での食料生産システムに反映することとしており、ご質問いただいたものに関しても同様です。現時点では取り込めていないものに関しては順次技術開発を行ってまいります。
2 宇宙空間での食用作物の栽培において、食中毒菌のブロックはどのようにされるのか? 培養液の工夫が必要になると考える。 月面での栽培システムでは物質循環機能を持たせることが大事ですが、その中の機能の一つとして殺菌等の対策も検討しております。
3 養殖を仮に宇宙で行うとして、採れた魚を捌く(料理する)ということは、そもそも可能なのか? 地上での調理器具をそのまま使用することは難しいと考えておりますが、宇宙で安全に調理する方法についてもこれから検討してまいります。
4 月面での水の精製、再生についてなのですが、今後、月の地下にあるとされる水を利用して、シンガポールの水再生技術のような技術を活用し水を精製、再生するということでしょうか。 水再生に関しては日本でも技術開発をおこなっており、いずれこの技術を使っていく可能性は大いにあります。しかしながらまずはその前に月にある水の採取、そしてその分析をおこなうことが必要となります。
5 植物は月に種で持っていきますか? 輸送のことを考えると植物は種で持っていくのがベースになると考えます。
6 食料を月産月消できるようになるのは何年後? 完全に月産月消となるにはかなり時間がかかると予想されます。まずは食料輸送に頼りつつ月面での食料生産を開始し、 徐々にその割合を変えていくこというステップになります。実際のスケジュールは探査計画における月面滞在人数等に応じて決定する必要があります。
7 宇宙に関しては開発競争になる感じですが国際協定はどうなんでしょうか? 現時点で月面での食料生産に関する技術開発については各国での分担などは現時点では決まってないですが、今後は競争というよりは海外との連携が重要になってくると考えます。
8 水分の確保に関しては地中の氷を使用するのでしょうか? 地中の氷を使用する可能性はもちろんあると考えます。ただし現時点ではそれを使えるのか、成分分析から始める必要があります。
9 宇宙での食料(野菜)の食味(美味しさ)を上げる工夫はどの様な手段をされるのでしょうか これまでは食料の生産をメインで検討してきましたが、美味しく食べるための調理についてはこれから検討してまいります
10 閉鎖空間での生活のための食料生産は、将来、月で人が住むためには必須事項ですが、飲用水や栽培に用いる水の循環利用はどのように考えられているでしょうか。 基本的に水などのリソースは可能な限り循環させ廃棄物を減らすことが重要であり、栽培の水に関しても循環システムの技術開発を進めております。
11 魚の養殖システムを宇宙(微小重力)/月(1/6G)へ持ちこむ場合の課題について。宇宙への輸送を鑑みた場合、水の現地調達を考えないのであれば、単位水量あたりの生産量を上げる事が重要になると思うが、 その為にキーとなる要素(浄水技術・狭い場所に耐える魚類品種選定など)はどんなものが考えられるか 宇宙での養殖についてはこれからの検討事項にはなりますが、可能な限りの水循環システムや省リソースでも養殖できる魚品種の開発(ゲノム編集技術等)は重要になってくると想定しております。
12 月面で最も必要とされる食料として挙げられる物やその栽培への最大の課題はなにか 必要とされる食料を決めるのは難しいですが、まずは生産の難易度やそれにかかるリソースを考慮して生産物の種類を検討していきます。ただし、これまで検討してきた野菜だけではなく動物性たんぱく質源も必要とされるため、魚類等も検討を始めました。 植物に比べて動物はやはり飼育の難易度が高いという点で必要な技術開発要素が多いことが課題となってくると考えます。
13 地球上でできた循環型システムを宇宙ステーションや月面に持って行こうとした時の課題はなにか 地上と宇宙での違いはやはり重力であり、これらは対流等の環境制御に影響を与えることが想定されます。 これらをいかに予測しながらシステムを作り上げるかは一つ大きな課題であるといえます。
14 月面と地球では物理条件が違うが、地球での研究は本当に月面でつかえますか。 重力や放射線等、環境条件に違いはありますが、ベースの技術は地上のものを使えると考えております。 また必要に応じてそれを宇宙ステーション等で実証していくことも重要になります。
15 生物や栽培する植物や設備の耐放射線は現状はどの様に対策或いは考慮されているか 放射線についてはまず月面基地等を設計する段階で考慮することになると考えます(基地の壁面等)。 その考慮の中には当然滞在する人への影響も含まれますが、それらの対策をすることで植物や生物への影響も包含されると思います。
16 生産した食料の貯蔵に関するテーマも行われているでしょうか? 貯蔵に関してはまさにこれから検討を進める予定になっております。食料は生産するところから消費までがプロセスであり、貯蔵もその中の重要な要素と考えます。
17 農業生産量を決定するにあたって必要となる、ヒト栄養所要量の推定法について 人に必要なエネルギー量等は 月面農場ワーキンググループ検討報告書(すでにオープンとなっている文書)にて触れられております。
18 月面基地での持続的な水力発電には、どのような方法があるとお考えですか。 月面基地ではまずは太陽光発電が考えられます。その上でより良い発電方法があればそちらを検討していくことになりますが、 現時点では水力発電に関してはあまり検討されていないと思います。
19 月面で食糧生産に適した場所を教えてください 月面での食料生産は基地の中の閉鎖環境でおこなうことが想定されるため、あまり場所に依存しません。 しかしながら月面の環境を考えると地下に埋める(太陽光を使わず、安全な環境である)のも一つの選択肢であるという考え方もあります。
20 遠隔操作、あるいは自立制御でロボットが月面で人に代わって作業ができるようになるかと考えますが、それでも月面居住を行う必要があるのか、疑問に思っています。 月での作業をおこなうという観点ではロボットにて代替が可能となる可能性はありますが、人類の生活圏を広げるというのも一つの意義であるとの見方もございます。
21 月面での植物栽培および畜産における宇宙放射線の影響について知りたい(発育にどのような影響があるか?) 動植物の放射線影響については宇宙のみならず地上でも研究されているところですが、月面基地はある程度放射線の遮蔽機能を有したものになると想定しており、動植物への大きな影響はないと考えております。なお、植物に放射線を当てることで作られた作物の栄養分の量が変化するという文献も拝見したことがございます。
22 月面での食料生産において持続的な資源の循環が求められると思いますが、課題感や解決の手段について既に取り組まれている中で、新たに見えてきた課題などはありますか?? 月面での資源循環はまさに現在地上で取り組まれているSDGsの取り組みと良く似ております。よって地上での課題は概ね月面での課題になると想定されておりますが、さらに酸素や二酸化炭素等のガスのコントロールも精密におこなわなければいけないこと、 そして地上よりも廃棄物を減らす必要があること等は地上よりもさらに厳しい課題であると考えます。
23 食糧生産から人間の呼吸、排泄物、食物残渣を含む、二酸化炭素、窒素、酸素、水素、等の循環系について、全体のシステム構成を知りたい。もしくはどこから手を付けようとしているのか知りたい。 ほぼ全ての循環をおこなっていくことが理想的と考えておりますが、まずは段階的なシステムの構築が必要という認識でおります。現在どういうステップでどのようなシステムを構築していくかを検討している 最中ですので今後それらの議論の結果が出ましたら情報を公開させていただきます。
24 月面基地での水循環システムは現実的に可能なのでしょうか?もし可能ならどのような形で行われるのでしょうか?そしてどのような課題があるのか 地上での閉鎖型循環養殖はまさに今いろいろなところで取り組まれているところであり、それらの技術を踏襲することで月面での水循環システムを実現することができるのではないかと期待しております。しかしながら月面基地では空気などのガスも閉鎖的である上に重力環境も異なるため地上のシステムに改良を加えていく必要が出てくることが 想定されますが、ここについてはこれからの研究課題となります。
25 スターダストプログラムで取り組む食料供給システム開発との連携可能性について スターダストプログラムとは適宜情報交換をしながら進めていくことを考えております。

質問・問合せ先

  • ご質問等は下記フォームよりお問い合わせください。
  • TansaXお問合せ

※電話でのお問い合わせはお受けできません
JAXA総合窓口等へのお問い合わせはお控えくださいますようお願いいたします
※転載・二次利用はお控えください